No.347 2015年 1月 18日

「伝道者の結論に聞こう」         牧師 中谷美津雄

結局のところ、もうすべてが聞かされていることだ。神を恐れよ。神の命令を守れ。これが人間にとってすべてである。神は、善であれ悪であれ、すべての隠れたことについて、すべてのわざをさばかれるからだ。(伝道者の書1213


「門松や 冥土の旅の 一里塚 めでたくもあり めでたくもなし」 一休宗純の狂歌と言われます。皮肉めいていますが、人生は見方次第で一変するのは確かです。栄華を極めた知恵者ソロモンの作とされる伝道者の書もそのことを述べています。

「空の空。伝道者は言う。空の空。すべては空。」(12)  あたかもこの書の主題を提示するかのように、一切皆空を告げて始まったこの書は、その後、知恵や快楽、富みや名声を得ること全てが空しく風を追うようなものだと述べた挙句に、「神を恐れよ。神の命令を守れ。これが人間にとってすべてである。」 と結論付けて終わります。

人の世の虚しさ、人生の儚さを少しでも知る者たちは、伝道者の知恵のことばに惹かれて、共感しながら読み進むうち、空しさの根本原因が神抜きのものの見方にあったことに気づき、神無しの空虚な人生観を捨てて、神を恐れて生きる者になろうという決心に導かれるのです。真の神に出会い、神を知るとき、すべては180度転回します。人生は意義あるものとなり、意義あるが故に、ありふれた日常的な小さなことさえもが楽しく喜ばしいものとなるのです。

 伝道者にとって神はどのようなお方でしょうか。

あなたの創造者  「あなたの若い日に、あなたの創造者を覚えよ (121) 。」 

聖書は巻頭から、天地万物を造られた神がいらっしゃると告げています(1:1)。そのお方が、私というひとりの人間にいのちを与えて生きることをよしとされた。天地万物の創造者は私のいのちの創造者であると自覚するのです。

ひとりの羊飼い   「これらはひとりの羊飼いによって与えられた(12:11)。」 

まことの神は迷い易い羊である私たちの人生を導くために真理のみことばを与えてくださいました。また、良い羊飼いとなって、緑の牧場、憩いの水のほとりに導いて必要な糧を与えてくださいます。あらゆる誘惑から守り、滅びから救い、たとえ戦いがあっても恐れ沈むことなく、むしろ敵の前で喜び楽しむことができるようにしてくださいます。

裁き主  「神は、善であれ悪であれ、すべての隠れたことについて、すべてのわざをさばかれるからだ。」(12:14) 人の目はごまかせても、神の目をごまかすことは決してできません。この世でのさばきを免れても最後の審判があります。それに備えて私たちを十字架で贖い罪を赦してくださったイエス・キリストを信じ、従う一年と致しましょう。